「技能実習」外国人の失踪が9753人で過去最多 政府、転職要件の明確化など対策

令和5年の技能実習生の失踪者が前年比747人増の9753人に上り、過去最多となったことが出入国在留管理庁への取材で分かった。政府は「技能実習制度」で原則、転籍(転職)を認めていないことが失踪者の増加を招いている可能性もあるとみて、転籍を例外的に認める場合の要件を明確化するなどの対策に乗り出す方針だ。

入管庁によると、5年の技能実習生は50万9373人。全体に占める失踪者数は約1・9%だった。国籍別ではベトナムが最多で5481人。次いでミャンマーが1765人▽中国816人▽カンボジア694人▽インドネシア662人-などだった。職種別では建設関係が4593人で、ほぼ半数を占めた。

5年の失踪者のうち、出国の手続きを取るなどして3カ月以内に所在が確認できたのは全体の25%超に当たる2660人。元年~5年の全失踪者(約4万人)のうち、今年7月22日時点でも所在不明なのは約25%に当たる9976人だった。

失踪の主な理由とみられるのが転職の希望だ。技能実習制度では、「やむを得ない事情」がある場合のみ転籍を認めると規定。具体的には実習先でのパワハラなどが該当するとされるが「定義が曖昧だ」との指摘もあった。このため入管庁は、失踪者対策として転籍の要件を明確化し、秋以降にガイドラインを公開する方針。

また、昨年のミャンマー国籍の失踪者は前年比で3倍近く増えたが、大半が母国の情勢不安を理由に、就労先の制限がほとんどない「特定活動」への在留資格変更を申請していた。入管庁は、実際には転職目的の申請が多いとみている。

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